宮廷騎士の採用基準



「そういや昔、騎士団受けたことあったな」

 アラストルに騎士団のことを訊いたら懐かしそうに答えられる。
「え? アラストルが?」
 驚いて訊ねた。
「ああ、見事に落ちたがな」
 採用基準がありえねぇとアラストルは言う。
「採用基準?」
「筆記、実技の他に家事能力の試験があるんだよ」
 納得。
 そう言えば「掃除が上手い」とか「お茶が美味しい」とか理由を聞いた覚えがある。
「で?」
「俺の時は裁縫の試験だった。見事に落ちた」
 ライバルはミカエラかな?
「それで護衛なの?」
「別に護衛だけじゃねぇ。依頼がありゃ殺しだろうが害獣駆除だろうがやるよ」
 アラストルは不快そうに答える。
 是非とも害獣駆除を見てみたい。
「殺しが一番楽だな。ディアーナの連中が暗殺専門のことを考えれば納得できる」
「ハデスは?」
「ルシファーが虐殺専門のことを除けばなんでもやる。護衛も殺しも指導もな」
 うんざりしたようにため息を吐かれる。
「大変だね」
「仕事だからな」
 楽だったら仕事じゃねぇとアラストルは言う。
「大人って大変だね」
「お前だってもうすぐだろ」
「嫌だなぁ」
 大人になりたくないと言えばアラストルに乱暴に頭を撫でられる。
「永遠の子供はディアーナの連中の専売特許だ」
「玻璃とか?」
「ああ」
 確かに子供っぽい。
 けど。
「クレッシェンテ人って基本子供だよね」
「自分に正直なだけだ」
 羨ましい。
 けれど。
 ここに馴染むってことは、私もその中の一部なんだろうな。
 なんて。





 2011/10/20
 実はミカエラの話とも少しリンク。  クレッシェンテ抄録以外はみんな一つかパラレルワールドなので、混乱するかも?
 アラストルは苦労人です。
 2013/02/18 改装
 2018/04/18 修正
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